理球荘-REQSO-

コーヒーと爬虫類と昆虫の話。

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【コーヒー】コーヒーどれにする?(豆の選び方編①)

『コーヒーどれにする?』第2弾です。今回は豆の選び方編です。

現在の在庫に合わせて編集してあります。

かなり変態度が高いというか、マニアックな話になるのでお覚悟を。

 

 

 

前回のまとめと補足

1.苦味が強いコーヒーが飲みたかったら、深煎り(色が濃い)豆を選ぶ。
2.酸味が強いコーヒーが飲みたかったら、浅煎り(色が明るい)豆を選ぶ。
3.豆を挽く際に粗挽きにすると酸味が出やすく、細挽きにすると苦味が出やすい。
4.ドリップの際の湯温が低いと酸味が出やすく、高いと苦味が出やすい。
5.ドリップにかける時間が短いと酸味が出やすく、長いと苦味が出やすい。
※とりあえず1、2だけ覚えておきましょう。

 

いよいよ豆選び

まずはREQSOで取り扱っているコーヒーの一覧を見てみましょう。

・ブラジル サントスNo.2#17/18
・コロンビア ナリーニョ スプレモ
エチオピア シダモG2
・グァテマラSHB
ケニアAA
ホンジュラスHG
ラオスG1
・メキシコAL
・ロブスタ種

 

エチオピア ゲレナ農園 ゲイシャG3 ナチュラ
エチオピア シダモG1 タデGG農園 ナチュラ

・ブラジル ベラ・ビスタ農園

・ブラジル ショコラ サントアントニオ
インドネシア マンデリン シナール

インドネシア ガヨマウンテン
タンザニア ンゴロンゴロAA++
・グァテマラ ミスティマウンテン

・グァテマラ フライハーネス アグアブランカ
ケニア レッドマウンテン
・ブラジル ベラ・ビスタ農園
・ペルー アンデス・ブルー
エチオピア イルガチェフェG1 コチャレ
ケニア マサイAA

コスタリカ ガンボア農園 ホワイトハニー

・インド エルクヒル農園
・コロンビア エメラルドマウンテン
・ジャマイカ ブルーマウンテンNo.1

コモディティーコーヒーとは

最初に注目してもらいたいのが、前半部分です。

・ブラジル サントスNo.2#17/18
・コロンビア スプレモ
エチオピア シダモG2
・グァテマラSHB
ケニアAA
ホンジュラスHG
ラオスG1
・メキシコAL
ベトナム ポリッシュ G1(ロブスタ種)

ここです。
これらはコモディティーコーヒー』と呼ばれ、
一般的にはシングルオリジン(特定の農園のコーヒー)ではないモノを差します。
広い地域から集められた豆を全て混ぜ、一定の条件(サイズなど)で寄り分けて出荷します。
様々な農園の豆が混ぜられる為、味が平坦化されます。その為、価格も安いです。

※最近は急激に価格が高騰しています。

 

例えば『ブラジル サントスNo.2#17/18』ですが、これをわかりやすくしてみます。
ブラジル:言わずもがな生産国。
サントス:輸出の為、豆が集められる港。ちなみに南米最大。
No.2:等級。ブラジルの場合は300g当たりの欠点豆(カビや虫食い等)が4つ以下がNo.2。
#17/18:スクリーンサイズ(豆の大きさ)で、この場合横幅6.75~7mm以上ということ。

つまり、『ブラジル全域で収穫され、サントス港に集められた等級が高く大きめの豆』ということです。
このように、国名の後に特定の農園の名前が入っていないものは、基本的にコモディティーコーヒーと呼ばれ、安価な豆として扱われます。

安価な豆というと品質が悪いように感じますが、実際にはそんなことはありません。
等級を下げれば当然品質は下がりますが、REQSOを始め殆どのコーヒー屋は、コモディティーコーヒーの中でも最高等級を使用しています。
基本的に等級を下げると欠点豆が増えるのですが、それだけ取り除く手間がかかりますし、歩留まりも悪くなります。
また、味が平坦化されている為、特定の農園の品質が下がっても、全体への影響が少ないのも利点です。
シングルオリジンではその農園の品質が低下すれば味が全く変わりますし、不作で豆が収穫できなければ、そもそも提供すらできません。
そういう意味で、品質が安定し、入手もしやすいコモディティーコーヒーは非常に重要なものです。

 

Tips:何故ブラジルはNo.1を使わないの?

何故ブラジル サントスNo.2を使用するかというと、No.2が最高等級だからです。
たまに『No.1』はないの?と訊かれますが、ブラジルにNo.1という等級は存在しません。
これは『完璧なモノなど存在しない』という理念からきていて、
可能な限り完璧に近づけたモノという意味で、No.2とされます。
欠点豆が0な豆は理想ですが、農作物という点、人の手で管理されるという点で実現は不可能でしょう。

 

それぞれのコモディティーコーヒーの解説(等級編)

REQSO取り扱うコモディティーコーヒーを1つ1つ解説します。
等級の話がメインになるので、なんとなく理解できた方は読み飛ばしてしまって大丈夫です。

コロンビア スプレモ

コロンビアの最高等級です。1つ下はエクセルソ。
欠点数ではなく、サイズで決まり、スプレモはスクリーンサイズ17以上。


エチオピア シダモG2

シダモ地区の2番目のグレードで、欠点数4~12。

G1は価格が高い上、欠点豆の数もG2とそんな変わらない(体感)為、1つ下げたG2を使用しています。
エチオピア イルガチェフェ』もありますが、これはシダモより更に範囲が狭い地区の豆です。

 

グァテマラSHB

グァテマラの最高等級で、『ストリクトリー・ハード・ビーン』の略です。
標高1350m以上で収穫されたものがSHBとされます。
店によっては『VSP』という独自の等級を使ってたりもします。
 

ケニアAA

ケニアの最高等級です。わかりやすい表現。
スクリーンサイズ7.2mm以上がAAです。
 

ホンジュラスHG

ホンジュラスの最高等級で、『High Grown』の略。
HGは標高900~1200mで収穫されたものです。

 

ラオスG1

正式な等級分けがなく、良い部分を輸出業者がG1としている(と記憶しています)。
今後の発展によっては、きちんとした等級が定められるかもしれません。


メキシコAL

メキシコの最高等級で、『アルチュラ・ラバド』の略。
標高1400m以上で収穫されたモノ。

 

Tips:ロブスタ種

少し特殊というか、他の豆は『アラビカ種』、こちらは『ロブスタ種(カネフォラとも呼ばれる)』というモノで、別の種類です。
ロブスタ種は病気に強く栽培しやすい反面、酸が殆ど精製されないという特徴があります。

印象としては、酸味も甘味も香味も少ないです。

苦味は非常に強く多く出る上、価格も安いので缶コーヒーなどに使われます。

悪く言えば嵩増しに使われるので敬遠されがちですが、アイスコーヒーなど苦味を強く出したい時などに重宝します。

美味しいブレンドを作る為に入荷していますが、人によってはロブスタを使う時点で低品質ととらえる為、ブレンドに使う際は『ロブスタ〇%使用』としっかり明記しています。

"ロブスタ"という名前に引っ張られるわけではありませんが、ほんのりカニやエビのような生臭さがあります。

 

Tips:モカとは

コーヒーで良く聞く『モカ』とは、イエメン、エチオピアのコーヒーを表します。

この2国のコーヒーは、大部分がイエメンの『モカ港』から輸出されます。ブラジルのサントス港と同じですね。

最近は主にイエメンのコーヒーがモカ(モカ・マタリ等)と呼ばれ、エチオピアモカと呼ばれることは減ってきたように思います。

モカ』というとほろ苦いコーヒーをイメージしますが、実際には酸味が強いコーヒーが多いです。

また、『カフェモカ』はエスプレッソにチョコレートシロップなどを混ぜたモノで、モカとは別物です。

モカにはチョコレートのようなフレーバーの豆があり、それを別の豆でも味わえるように考えられたのがカフェモカと言われています。

 

各国のコーヒー豆の傾向

基本的にコーヒーの味は、生産国に左右されます。

理由として、乾季・雨季の有無や、1年を通しての気候、高山地の有無などが挙げられます。

特にコモディティーコーヒーは前述のように広い地域の豆が混ぜられるため、この傾向が強くなります。

もちろん特定の条件で栽培している農園もありますし、豆のポテンシャルを最大限引き出すために焙煎を工夫した結果、この傾向から外れる例外も存在します。

例外を1つ1つ解説するのはまたの機会にして、今回は国別・REQSOでの焙煎の傾向を記します。

 

苦味が強く、酸味が弱い

ブラジル サントスNo.2#17/18

バランス系の筆頭といった豆です。浅煎りから深煎りまで幅広く対応できます。

コクと苦味を際立たせる為、REQSOではやや深めに焙煎することが多いです。
(一般的な焙煎:ハイ REQSOでの焙煎:シティ)
 

グァテマラSHB

酸の含有率が非常に高い為、フルシティまできっちり焼いて特徴的なカラメルのような香味を引き出します。
その為、苦味と甘味を強く感じます。
(一般的な焙煎:フルシティ REQSOでの焙煎:フルシティ)

 

ロブスタ種

酸を殆ど含有せず、ロブスタ独特の臭みがあります。
その為、かなり深めに焙煎してスモーキーにしています。
(一般的な焙煎:? REQSOでの焙煎:フルシティ)

 

苦味・酸味のバランスが整っている

コロンビア スプレモ

ブラジルと並んでバランス系の筆頭ですが、こちらはウォッシュドなのでクリーンな香味を持ちます。
深煎りの入り口で止めればバランス系、さらに深く焼けば苦味と甘みが際立ちます。
様々なアプローチができる為、特に指定がなければその時の気分でいろいろな味になります。
(一般的な焙煎:シティ~フレンチ REQSOでの焙煎:シティ~フレンチ)
 

ラオスG1

バランスが良いと言えば聞こえが良いですが、どちらかというと特徴がないコーヒーという表現が近いです。

その為、焙煎によりキャラクターを付与しないといけません。

REQSOでは深煎りに焙煎し、やや薄めにドリップしてアメリカンコーヒーのように飲んでもらうことを想定しています。

(一般的な焙煎:ハイ~フルシティ REQSOでの焙煎:シティ~フレンチ)
 

ホンジュラスHG

特徴がないことが逆に特徴となった、軽めに整ったコーヒーです。

火の入り方が素直でどんな焙煎にも豆から寄せてきてくれますが、それ故に逆に悩みがちな豆です。

基本的にはぴったりシティローストで止め、コーヒーらしさド真ん中を狙いに行くことが多いです。

(一般的な焙煎:シティ REQSOでの焙煎:シティ)

 

酸味が強く、苦味が弱い

エチオピア シダモG2

フルーティーの代表格です。甘い果実のような香りが特徴です。

焼きすぎると香りが飛んでしまう上、雑味が出てくるので浅めの焙煎をします。

フルーティーな香味、酸味が堪らないコーヒーです。

(一般的な焙煎:ハイ REQSOでの焙煎:ハイ~シティ)


ケニアAA

鋭い酸味とスパイシーな香り、重めのコクが特徴です。

酸が多いので深煎りにするとかなり甘くなるのですが、REQSOではレッドマウンテン、

マサイAAでそのアプローチをしている為、コモディティーはやや浅めに仕上げます。

酸味好きにはオススメのコーヒーです。

(一般的な焙煎:シティ~フルシティ REQSOでの焙煎:シティ)

 

メキシコAL

口当たりは軽めですが、しっかりとした酸味を感じます。

クセのないフレーバーなので、酸味系のコーヒーに挑戦してみたいという方にオススメです。

(一般的な焙煎:シティ REQSOでの焙煎:シティ)

 

Tips:マンデリンについて

REQSOではコモディティーとしての取り扱いはもうしていないので紹介してませんが、

インドネシアのマンデリンは苦いコーヒーとして人気です。

詳しくは次回のスペシャティー・シングルオリジン編で解説しますが、

どの店で買ってもほぼ100%確定で苦味が強く、酸味が弱いコーヒーです。

どの豆が好みかわからず困ったら、とりあえずマンデリンを買っておけばいいレベルです。

 

最後に

長くなってしまう為、今回はコモディティーコーヒーのみの紹介としました。

REQSOで取り扱っていないだけで他にもコモディティーコーヒーがありますので、入荷することがあれば都度紹介します。

お任せガチャで数種類まとめて買ってみても楽しいですし、味が安定しているので量り売り100gで1種類だけ買ってもいいと思います。ぜひご注文ください。

また、ブレンドなので紹介していませんが、REQSO謹製『至高の作業用コーヒー』は酸味が少なく、また苦味も強すぎないので非常に飲みやすいコーヒーです。こちらのほうも、併せてよろしくお願いいたします。

 

次回はスペシャティー、シングルオリジン編です。

執筆に手間取っていますので、気長にお待ちください。