理球荘-REQSO-

コーヒーと爬虫類と昆虫の話。

コーヒーと爬虫類と昆虫の話。

【その他昆虫】クロカタゾウムシ[1]

22年12月からクロカタゾウムシを飼育しています。

『世界一硬い虫』と言われていますが、触るとよくわかります。

多少雑に扱っても意に介さないので、非常に楽です。

真っ黒で面白みのない姿をしており、人によっては気持ち悪いと思う昆虫ですが、ノッチノッチと活発に歩き回る様子はとても愛らしく、見ていて飽きません。

プラケースの壁を登るので脱走にはやや注意がいりますが、せっかくついている羽根は固まってしまい開かないので、飛んで逃げることはありません。

現状何の苦労もなく飼育できているので、飼育環境を紹介します。

 

沖縄県石垣島登野城

 

クロカタゾウムシについて

寿命:1年~1年半

飼育温度:15~26℃程度

雌雄判別:腹板の末端が丸みを帯びた三角だとメス、台形だとオス(難しい)

産卵方法:同居させてダラ産み

幼虫期間:3ヶ月程度

 

現在の飼育環境

蓋は必ずつけましょう。

 

プラケース:クリアスライダー

蓋が出来て、生体が通れる穴がなければなんでもいいです。

今回は乾燥しづらく、全面が透明で観察がしやすいクリアスライダーをチョイス。

ラージでもいいんですが、広すぎて交尾の頻度が落ちるのと、メンテが面倒なので小さい方にしました。

 

シェルター:なし

特に隠れ場所はいらないと思います。

 

床材:キッチンペーパー

キッチンペーパーを折って敷いてます。

が、壁や天面にも糞をするし、足場がツルツルでも余裕で歩けるので、特に床材がなくても問題なさそう。

 

ヒーター:なし

常温飼育してますが特に問題なく活動してます。

18℃くらいでも問題なく餌を食い、産卵します。

心配ならフィルムヒーターを設置してもいいと思いますが、ピタリ適温だと高温すぎると思われます。

サーモスタットを付けるか、温度調整が出来るフィルムヒーターを使ってください。

プラケを直に置くと底が高温になってしまうので、プラケとヒーターの間にすのこを挟むと良いです。

 

水分:改造タッパー

蓋に穴を空けたタッパーに水を入れて、キッチンペーパーを差し込むのがしっくりきました。

プラケ内の加湿にもなりますし、生体が直接水分を吸ったりもしてるみたいです。

構造的には箱ティッシュのようなイメージ。

 

食餌:ニンジン

野生では葉っぱを食べるようですが、飼育下ではニンジンがベスト。

食いつきが良く、栄養分も申し分ありません。

かなり小食なので、ひとかけら入れて、カビが生えたら交換する感じで。

 

餌皿:レプタイルディッシュ

地味に重要アイテム。

餌を直接床材に置くのは衛生的ではないので、餌皿の使用をオススメします。

この餌皿はツルツルしてて返しもついていますが、特に問題なく出入りしています。

 

日々の世話

基本的に放置です。

勝手に歩き回って、勝手に餌食べて、勝手に糞をします。

餌と水だけ確認が必要ですが、両方とも交換は数日に1回程度です。

凝ったレイアウトのケージで飼育しても楽しいと思いますが、床も壁も天面も関係なく糞をするのでメンテが面倒になるかも。ウチはドシンプル構成です。

ゼリーから水分を補給しているだけで、食べてはいない

Tips:クロカタゾウムシの糞は飼い主に優しい?

いたるところに糞をする昆虫ですが、糞自体はかなり掃除しやすいです。

プラケを2つ用意しておいて、メンテの際に中身を全部移動。空になったプラケを水道でジャバジャバ洗えば糞も溶けて流れます。

水溶性というほどではありませんが、力を入れてゴシゴシ擦らなくても落ちるので非常に楽です。

 

交尾~産卵まで

ペアで飼育していれば、勝手に交尾して勝手に産みます。

ダラダラと床や壁にくっつけていく感じです。

卵は小さすぎて写真を撮っても何が何だかわからないので乗せませんが、やや黄色い1~2mm程度の楕円形です。

糞とは明らかに違うので、見ればわかると思います。1個犠牲にして潰してみれば確信が持てるはず。

 

Tips:産卵セットはレプタイルディッシュ?

餌皿としても紹介したレプタイルディッシュですが、重要としたのは産卵に関わる為。

あくまで我が家の環境なので万能とはいえませんが、ほぼ100%レプタイルディッシュの中に産卵しています。

単純に餌場なので、雌雄で出会いやすいという点が大きいと思うのですが、それ以外にも質感など気に入る要因があるのかと思います。

 

採卵~セットまで

まずはこちらをご覧ください。

ふざけてないです

イモです。

野生化ではどんぐりの亀裂に卵を産み付け、孵化した幼虫はどんぐりの実を食べます。

飼育下ではプラケ内に産み付けた卵を回収し、穴を開けたサツマイモに埋め込むことで幼虫飼育ができます。

写真はさすがに過密なので、もう少し減らした方がいいと思います。

卵を仕込んだ穴はマーキングしておきましょう。

 

Tips:サツマイモを輪切りにすればいいのでは?

厚さ1㎝程度の輪切りにしたサツマイモに穴を開けて卵を仕込めば管理しやすいことに気づきました。

断面が増えるので、カビや乾燥にはやや注意が必要です。

2、3日おきに様子見しましょう。

 

セット~蛹化まで ←今ココ

現在の状態です。

サツマイモに開けた穴から粉のようなものが出てきたら、無事孵化した合図だと思います。

過密飼育でなければ、孵化~羽化まで待つだけです。過密飼育の場合は・・・どうしよう。何か考えます。

乾燥気味なら霧吹きで加湿を。

サツマイモの下にキッチンペーパーを敷いておき、それを加湿する形が良いかと思います。

直接サツマイモに霧吹きすると、穴から水が滲みて幼虫が酸欠になったり溺死したりするかも。

また、サツマイモからヒゲが伸びてきたら切り落としてください。

一気にシワシワになってしまいます。

 

成虫になったら

ここは事前情報で書いてるので、あまり信用しないでください。

羽化すれば勝手にサツマイモの表面を食い破って出てくると思います。

世界一硬い虫ですが、羽化直後は身体が固まっておらず柔らかいのと、飼育下では共生細菌が増えずに野生ほど固くならない可能性がある為、蛹室を破るのは避けた方がいいかも。

早く成虫を見たくて蛹室を破ってしまうのはある程度仕方ないですけどね、ガハハハ。

 

最後に

見た目に反して愛らしい歩き方ですし、飼育も簡単で比較的長生きするので、もし見かけたら是非飼ってみてほしい昆虫です。

入荷は少ないですが、ペアで3000円ほどなのでお手軽です。

くれぐれも脱走には注意しましょう。